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海外調査とは?
海外調査とは、海外で行う調査のことで、昨今の海外進出を考える企業や、ツーリズムに関わる飲食/サービス/商材を扱う企業などに注目されている調査です。海外における市場調査や海外支社のES調査(従業員満足度調査)など目的や手法は様々です。
国内での調査に比べ、海外モニター集めなどハードルが高いと思われがちですが、海外調査経験や海外モニター保有数豊富な調査会社が多く存在します。
海外調査の手法
海外調査は調べたい現地の消費者のニーズや適正価格、マーケット規模を把握することができ、定量調査と定性調査どちらも実施することができます。また、調べたい国や地域によっては、オフラインタイプの電話調査や対面式調査が主流となっている場合もあります。海外調査で活用される5つの調査方法についてご紹介します。
webアンケート・ネットリサーチ
ネットリサーチとはインターネットを用いて調査を実施する調査方法です。海外事業を展開するとき、その国の市場や需要を前もって調査することは不可欠です。ネットリサーチでは、スマートフォンやPC、タブレットから手軽にアンケートへ回答することができるため、モニター数が多い大規模なアンケート調査や、出現率の低い特殊モニターを集めることも可能となります。また調査の実施やデータの整理に工数がかからないことから、比較的低い価格帯でスピーディーな調査を行うことができます。
街頭調査
街頭調査は街中でアンケートの協力を呼びかけ調査をする方法です。海外調査の場合ですと、現地のスーパーマーケットやコンビニなどで実際にアンケートを実施します。Webアンケートやネットリサーチと比べると、費用や時間はかかってしまいます。ただ調査したい国の中でもピンポイントに生の声を集めることができるため、海外進出を考える際の市場調査や、意識調査に有効な情報を入手できる調査方法となっております。
グループインタビュー
グループインタビューは現地で何名かの調査対象者を集め、司会者が調査テーマについて質問を行い、発言してもらうことで様々な意見や情報を収集する調査方法です。グループ形式で行われるため、参加者同士の相互作用が発生するのが特徴です。グループ内で意見の共有が生まれ、その共有意見を基に別の意見を出しやすくなり、多数のモニターが共感できる意見や情報を発見することが可能となります。しかし、他者の反応が気になることで自由に発言ができない場合もあるため、一人一人の価値観を深堀するのが難しいケースもあります。ディスカッション形式や、他者の意見を踏まえながらの回答を求める場合などに有効な手法です。海外によってディスカッションに対する意識も大きく異なるため、回収できる内容も国内外で変わります。
電話調査
電話調査とは、電話を用いてモニターにアンケート調査を行う方法です。意見や感想など、生の声を聞くことが可能です。政府や自治体が世論の動向調査に用いる場合もありますが、民間企業の間でも市場調査をする際にも利用されている手法です。電話がつながればその場で回答を得ることができるため、短時間でスピーディーに調査を終えることができます。また、近年の電話料金の値下げによって費用を抑えて実施すること
も可能となってきています。
デスクリサーチ・デスク調査
デスクリサーチとは、アンケートやインタビュー等の実際の調査を行うのではなくインターネットや書類などで文献や過去の調査結果をリサーチする手法です。デスクリサーチという名前ですが、実際には図書館に行って調査を行うこともあり足を運んでリサーチをする場合もあります。
デスクリサーチでは、競合調査や海外市場調査を行うことができます。海外に事業を展開していく場合、その国での自社製品のニーズや競合企業を把握することは不可欠です。しかし実際に海外に赴いて調査をしに行くことはコストも時間もかかってしまいます。デスクリサーチを活用することで、日本にいながらも海外市場や競合について把握することが可能です。
海外調査のポイント
海外調査を行うにあたって注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは特に重要な3つについてご紹介します。
費用
海外調査は日本国内での調査よりも費用相場は高くなっています。その理由は以下の通りです。
・リサーチャーの移動費がかかる。
・翻訳・通訳の工程がある。
・モニターの収集に手間がかかる
調査会社によっては海外の調査会社と提携していたり、現地に拠点を持っていたりすることもあります。その場合、海外調査に経験や実績があることに加え、費用を抑えられることもあります。
言語
海外調査を行うにあたって最も懸念される事項の一つが言語です。インタビュー調査において言語の壁が生じることはもちろん、アンケート調査を行うにしてもただ翻訳しただけではニュアンスが通じない場合もあります。現地の言語について詳しいスタッフを保有する調査会社を利用することで、正しいデータを収集することができるでしょう。
文化の違い
日本では当たり前なことが海外でも当たり前とは限りません。例えば日本では多く人がネットを利用しているため、大勢にアンケートを取るにはネットアンケートを取ることが有効です。しかし、海外ではネット利用率に地域差や年齢差があり、偏った結果になってしまうこともあります。現地に詳しい調査会社を利用することで目的に合ったリサーチを行うことができます。
海外調査のメリット・デメリット
メリット
海外調査のメリットは、調べたい国々の市場において消費者の商品やサービスに対する反応や意見を把握することができる点です。海外進出などを視野に入れる際に、突然海外市場に乗り込んでしまうと、思っていたより需要が少なかったりカルチャーギャップにより製品が受け入れられなかったり期待していた成果が出ない場合があります。そのような事態を避けるためにも海外調査は様々な企業に広く使われています。また競合他社がどのような展開や戦略を広げているのかを調査することもできるため、他社との比較や策略を練る際の指標としても利用されています。
デメリット
海外調査のデメリットは、必ずしも調査したい国や地域が対応しているとは限らない点です。そのため、調査会社を選ぶ際には対応エリアに注意することが重要となります。また、海外で行うため国内で行うものよりも価格帯が高く、調査期間も長期化する傾向にあります。海外調査にどのくらいの費用や期間を費やすのか、事前に精査した上で実施しましょう。
海外調査の事例と料金
case1:コンサルティング会社
調査内容:コロナウィルスの影響による訪日意識の調査がしたい
調査手法:ネットアンケート
調査エリア:フィンランド、デンマーク、スェーデン、ノルウェー、ブラジル、マカオ
サンプル数/設問数:各国1000名/25問
実施時期:来年夏
費用:80万円
case2:日系企業のタイ現地法人
調査内容:20代~60代の男女に海外両行保険に関する調査がしたい。
調査手法:ネットリサーチ
調査エリア:タイ、ベトナム
サンプル数/設問数:各国200名/15問
実施時期:翌月
費用:40万円
中東市場調査・マーケティング
中東市場は、経済の多様化と成長の機会が豊富な地域であり、マーケティングや市場調査を行う上での独特なチャレンジと機会があります。以下に、中東市場におけるマーケティングと市場調査のポイントをいくつか紹介します。
1. 市場の多様性
中東地域は、文化、言語、経済発展の度合いなどが多様であり、国ごとに大きく異なる市場があります。主要な市場には以下が含まれます。
- GCC諸国(湾岸協力会議): サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、カタール、クウェート、オマーン、バーレーン。
- 北アフリカ: エジプト、モロッコ、アルジェリア、チュニジア。
- レバント地域: レバノン、ヨルダン、シリア、イラク。
2. 文化的理解
文化的な感受性が重要です。例えば、イスラム教徒が多いため、ハラール製品の需要やラマダン期間中の消費パターンの変化などに対応する必要があります。
3. 言語
アラビア語が主要言語ですが、ビジネスの場では英語も広く使用されます。マーケティング資料や調査データは、主要なターゲット市場の言語で提供することが望ましいです。
4. 経済状況と消費者行動
- 高所得層: GCC諸国には高所得層が多く、ラグジュアリー商品やサービスの需要があります。
- 中所得・低所得層: 他の国々では、価格に敏感な消費者が多く、コストパフォーマンスを重視する傾向があります。
5. デジタルマーケティング
中東ではインターネットとソーシャルメディアの普及率が高く、デジタルマーケティングが重要な役割を果たしています。特に若年層はソーシャルメディアを活用して情報収集や購買行動を行います。
6. 市場調査の手法
- 定量調査: アンケート調査や統計データの分析を通じて市場の規模や消費者の行動を把握します。
- 定性調査: インタビューやフォーカスグループを通じて消費者の深層心理やニーズを探ります。
- デジタル分析: ウェブサイトのトラフィック分析やソーシャルメディアのエンゲージメント分析など、デジタルデータを活用した調査が効果的です。
7. 法規制
各国の法規制やビジネス習慣を理解することが重要です。特に広告に関する規制や輸入規制など、ビジネス活動に直接影響を及ぼす要素については十分な調査が必要です。
8. パートナーシップ
現地の企業やエージェントとのパートナーシップを築くことが、効果的な市場参入戦略の一部となります。現地のネットワークや知識を活用することで、リスクを軽減し、ビジネスを円滑に進めることができます。
中東市場への参入やマーケティング活動を成功させるためには、これらの要素を総合的に考慮し、適切な戦略を立てることが重要です。