顧客満足度調査、通称CS調査(Customer Satisfaction)とは、自社の商品・サービスに対する顧客の期待と満足度を調査するものです。商品購入者やサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスもらうことで、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつくヒントを得られる可能性もあります。
顧客満足度があらゆるマーケティング戦略の核とも言われており、マーケティングの課題解決に有効な結果を得られるように、質の高い顧客満足度調査が欠かせないでしょう。
ここでは、「顧客満足度調査の概要」、「調査の流れと重要ポイント」、「顧客満足度調査を行うメリット・デメリット」などについて解説します。
目次
顧客満足度調査の概要
顧客満足度調査(以下、CS調査)とは、商品やサービスを利用した顧客が得た満足感や達成感を調査することですが、単なる満足度の向上ではなく「商品やサービスの継続購入」等、企業とユーザーのつながりを強固にすることが最終目的です。
また、近年では対象が顧客ではなく社内の従業員を対象にした「従業員満足度調査(ES調査)」も重要視されています。理由は、従業員の満足度を向上させることで、企業の業績向上や商品やサービスの質の向上につながると考えられているからであり、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の関係は、密接に結びついていると言っても過言ではありません。
※ES・・・Employee Satisfaction
※従業員満足度は、社員満足度と表現されることもあります。
顧客満足度調査のメリット・デメリット
顧客満足度調査にはマーケティングの成功につながるメリットがあります。一方で、調査を実施する際に考慮しなければならないデメリットも存在します。
ここでは顧客満足度調査のメリットとデメリットを解説していきます。
顧客満足度調査のメリット
顧客満足度調査を行うメリットは以下の3つが挙げられます。
①リテンション達成ための根拠集め
顧客囲い込み・維持・活用、また、ポジティブな口コミによる顧客・リピーターの増加のための根拠(準備①・②)
②業務効率の向上(PDCAを顧客目線で回せる)
顧客の購買理由の優先順位を把握し、対応順位を決めることが出来る。(活用①)
※PDCA…Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の業務サイクル
③社内人事のための共通認識
優秀な従業員、または改善が必要な従業員に不当な育成・評価をしてしまい顧客の離脱を招かないようにする(サイレントマジョリティ―の把握)ため、人事評価の指標となる。(活用②)
顧客満足度調査デメリット
デメリットとしては、工数・時間がかかるという点が挙げられます。自社の発展のため上記に挙げたメリットは、デメリットを負うに値しないと思うか、負ってでも得たいと思うか、調査実施前に、調査における費用対効果を考えてみましょう。
調査の流れ
調査方法によって細かいフローは異なりますが、基本的には次のような流れです。
アンケート調査の方法にも様々あり、それらは目的やターゲット層に応じて、豊富な知識を持った人間が適当な選択をすべきです。
なお、後ほど解説しますが、顧客満足度調査の本筋はアンケートではありません。そのため、今回はCS調査において最も重要な“準備”と“活用”について解説します。
顧客満足度調査を意味あるものにするためのポイント
CS調査の成果を上げるには、調査前の準備と調査結果の活用の2つが大きなポイントです。それぞれについて解説していきます。
<準備>
①“満足度“の基準となる”期待値“を把握
②CS調査とアンケートそれぞれにおける「目標・ゴール・目的」の設定
<活用>
①顧客の購買理由の優先順位を把握し、対応順位を設定
②アンケート結果が顧客全体の声ではないことを認識
準備①:満足度の認識 ~“満足度”の基準は“期待値”~
「満足度」はどのように測定すべきでしょうか。何をもって“満足“あるいは“不満”とするかには、個人差があります。そこで、満足度の基準となるのが期待値です。
その商品やサービスを利用する前に「どの顧客が、どの商品のどこに、どれくらい期待をしていたか」という基準によって、利用後の満足度は左右されます。
期待値と満足度の関係性は、当然ながら下の図のようになります。
例えば、CS調査のアンケート項目に「商品に満足しましたか」という問いかけは、アンケート内容としては不十分でしょう。期待値を把握するために「商品のどんなところに期待して購入しましたか」というように、顧客の気持ちを正確に把握できるような文言で設問を作る必要があります。
準備②:意識確認~アンケートはCS調査の一部として認識する~
アンケートを作成するにあたって念頭に置くことは、「アンケートは、顧客の満足度を知るための手段のひとつである。」ということです。
何事も、調査においては必ず「目標、ゴール、目的」を設定します。
顧客満足度とアンケートにおける「目的」は等しく「リテンション(※)」ですが、「目標・ゴール」はそれぞれ異なります。
※リテンション
既存顧客の維持と活用。顧客をリピーター化、口コミによるさらなるリピーター増加などが挙げられる。
二つの関係性は、下記の図をご覧ください。
図中の「顧客満足度の現状」とは、「どの顧客がどの商品のどの部分にどれくらい満足しているか」です。
また、「分析」は「社員の誰がどの顧客にどんなことをすべきか」を考えるということです。
最終的な目的、つまりリテンションにつなげるためには、根拠となる情報(現状把握と分析)をアンケートから得る必要があります。
準備①と準備②が完了したら、次の項目を選定します。
<調査企画>
①調査対象
…誰に聞くか。
②サンプル数
…調査対象の中からどれくらいの回答数が必要なのか。
③媒体と告知方法
…何を使って聞くか、どうやってアンケートを配布するか。
④回答方法
…媒体によって左右される。手間とコストのかからない方法を選ぶべき。
<調査票作成>
⑤設問数
…設問数とサンプル数は反比例する(質問数が多ければ回答意欲は失せる)。少ないと分析に必要なサンプル数を集められない。
<アフターケア>
⑥謝礼
…回答の御礼をすべきか、その内容はどうするか。謝礼があれば当然サンプル数の獲得にはつながりやすいが、そのまた当然コストもかかる。調査対象が細かくセグメント化されている場合には必要サンプル数の獲得が難しく、謝礼を要する場合もある。
注意点:回答労力に対して、良い意味でも悪い意味でも謝礼内容が見合わない場合には回答の信頼性が低くなる。
⑦個人の特定が必要かどうか
…満足度が低かった顧客に対して個々に対応する場合(例:保険会社など)や、謝礼を設定している場合には、個人の特定が必要になる。
これらの調査企画、及び調査票の作成は、企業のターゲットやマーケティング課題によって適当なものを選択しなければなりません。
調査方法としては例えば「ネットリサーチ」「街頭調査」「覆面調査」などが挙げられます。それぞれで調査企画や調査票の作成について触れているので、参考にしてみてください。
・「「ネットリサーチ」とは?メリットや活用方法を徹底解説!」
・「街頭調査とは?実際にかかる費用や時間を解説」
・「覆面調査とは?調査の流れやポイントを解説」
社内に調査のエキスパートや専門部署がない限り、調査会社に依頼するのが定石でしょう。
活用①:顧客の購買理由~その優先順位と自社での対応順位~
アンケート結果の分析に基づき、いよいよ顧客満足度向上のための施策を打ち出して実施します。
顧客が商品やサービスを選ぶポイントは何でしょうか。主な要因として「金額」「機能」「デザイン」「品質」等が挙げられるでしょう。
(※販売方法が通販だった場合などには例えば「配達予定が他社よりも早かったから」等の細かい理由も含まれます。)
購買理由の優先順位を分析し、それに見合った順位で対応(施策立案・実施)を行います。
注意したいのが、1位の意見だけを反映させないことです。
例えば、顧客が最重要視しているのが「金額(安さ)」であるという仮説(認識)が調査結果からも認められた場合でも、安さだけに注目してはいけません。
なぜなら、優先順位の次位以下に、「機能」が僅差でランクインしていた場合、「機能」の重要性も無視できないからです。
もし、安さだけを追求した施策を実施すれば、顧客が満足度の理由に挙げていた「機能」のレベルが低下する恐れがあり、既存顧客を失う可能性は否定できないでしょう。
活用②:声なき声を聴くには~本当の課題を見つけるために~
CS調査で多く指摘された問題点や改善点も、それが必ずしも顧客満足度向上のカギを握る最重要課題であるとは限りません。なぜなら、企業の対応や商品、サービスの質に不満を感じた顧客がクレームを発する割合は全体の5%ほどで、残りの95%は積極的に意見を発しないといわれているからです。
消極的な顧客ならびに彼らの意見のことを「サイレントマジョリティー(物言いわぬ多数派)」と言います。
企業に届く声はまさに氷山の一角。アンケートによって得られた結果だけを判断材料にしないようにしましょう。
隠れた意見を聞く方法の1つが、現場従業員に協力を仰ぐことです。
常日頃から商品やサービスを通じて顧客とコミュニケーションを取っている現場の従業員に、CS調査の必用性を正しく伝えておきましょう。従業員には、会話の中に見え隠れする本音や表情を読み取ってもらえるよう、必要に応じて接客研修等も実施すると良いでしょう。
なお、サイレントマジョリティーを把握する方法としては、SNSの活用もあります。インターネットの口コミサイトのように匿名性が高いものは、アンケートからは得られなかった発見があるかもしれません。(※ただし、顧客の詳細なプロフィールまでは把握できないことが多い。)
まとめ:顧客目線の商品・サービス向上のためには
企業がさらなる成長を遂げながら長くお客様に支持され続けるためには、顧客目線に立たなければなりません。そのための施策立案や実施のためには、顧客満足度調査は必須ということが今回の解説でお分かりいただけたかと思います。
課題や目的にあわせて、複数社への見積もりをしてみてはいかがでしょうか。
顧客満足度調査ができる会社一覧
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