街頭調査とは、調査員が街頭に出てモニターを選別し、路上でアンケートやインタビューを行う調査のことを言います。
定量調査(※1)の一種で、調査員が容易に質問でき、モニターがその場で回答できるような、相対的に単純で明快な調査に用いられることが多い調査手法です。
しかし、準備不足で調査に臨むと、結果に大きく影響を及ぼす恐れがあるため、注意が必要です。
ここでは、「街頭調査の概要や全体の流れ」、「調査時に気を付けるポイント」、「街頭調査のメリット・デメリット」などについて解説します。
目次
街頭調査とは?特徴について
「街頭調査」とは、調査員が街頭に出て調査対象者を選別し、路上でアンケートやインタビューを行う調査手法のことです。街頭アンケート、路上調査とも呼ばれ、テレビや雑誌などのメディアでも積極的に行われていることから、知名度と認知度の高い調査方法です。
実際に来街した人へのアンケートですので、調査目的に合致するピンポイントなターゲットを絞り込むことが可能で、かつ、その場で調査票が回収できるスピード感の良さがあります。街頭調査の結果を左右するのが、調査前の事前準備です。
街頭調査のメリット・デメリット
街角調査には消費者に直接意見を聞けるという特徴から多くメリットがあります。その一方で調査を行う際に考慮しなければならないデメリットもあります。
ここでは街角調査のメリットとデメリットについてを解説していきます。
街頭調査のメリット
街頭調査のメリットは、何と言ってもその場で完結する手軽さにあります。これは主にモニター側、回答者側にとってメリットが大きく、比較的負担の少ない調査となります。
街頭調査においてのメリットは以下の通りです。
・調査の回収がその調査時間中に可能。
・年齢や性別などのセグメントを、目で見て判断できる。
・希望するモニター属性によってはピンポイントなターゲットを集めることが可能(地域をが限定されるため)
・モニター経験の豊富な人からの意見だけでは、回答に偏りが生じてしまうケースも存在するが、街頭調査では一般の人から意見を吸い上げられる。
街頭調査のデメリット
街角調査のデメリットは以下の通りです。
・調査対象者の拘束時間が短いため、込み入った質問はできない。
・調査を行う街の特徴や時間帯が、調査結果に大きく影響を及ぼすこともある。
・実査場所の確保に手間と時間がかかる場合もある。
・ある程度コミュニケーション力の高い調査員が必要。
デメリットに対する解決策としては、先述した会話のテクニックや警戒心を抱かせない身だしなみをはじめ、調査自体をイベント化し、モニターが参加したいと思うような形態にするなどが考えられるでしょう。
街角調査の前に入念な事前準備を
モニター数やエリアにもよりますが、調査準備から分析までの流れは、
概ね他の調査手法と同様です。
しかし、街頭調査の場合は入念な事前準備が欠かせません。
理由は、街頭調査の調査対象が「たまたまその場を歩いている人たち」であるということ。
彼らは忙しい中、貴重な時間を割いてわざわざ足を止めて、全くの善意で回答してくれますので、対象者の回答しやすさ、質問数の設定、調査時間に配慮する必要があります。
調査テーマの選定
ここで、街頭調査に不向きな例をご紹介しましょう。
調査テーマ「社内の人事評価制度についての不満
調査対象「20代~40代の女性会社員」
調査時間・場所「11時~15時のビジネス街」
上記で街頭調査を実施した時、快く回答してくれるモニターはどれくらいでしょうか。
一般の会社員の方に協力を仰ぐ場合、ランチタイムは避けた方が無難です。
また、回収率をアップさせるために「謝礼としてスイーツをプレゼント」等のメリットがあると協力が得られやすいかもしれません。
街頭調査に適したテーマは、大きく分けて次の2つがあります。
〇 実際の商品を見て、評価して欲しい調査/エリア限定で実施する調査
〇 サンプリングプロモーションを兼ねて「生の声」をアンケートで直接聞く調査
上記のテーマの回答率が高い理由は、回答者にメリットがあるということ。
その場で新商品を試すことができる、サンプルをそのまま持ち帰れる等、調査対象者が「お得感」を得ることができれば、回答率アップが見込めるでしょう。
調査エリアの設定
調査対象を明確にしたら、どのエリアでアンケートを実施するのかを決めます。
調査の場所はどこでも良い、ということではなく、アンケート調査の意図に沿った地点に設定することが重要です。
例えば、新しいショッピングモールを建設するにあたって、「小学生の子供がいる家族」にインタビューをしたい場合には、建設予定の地域にある他のショッピングモールや、建設予定地から半径何キロ以内にある店舗というように範囲を設定し、調査を行います。
よくあるパターンとして、ショッピングモール等の商業施設の評価を、実際の訪問者に質問する調査があります。このような場合は商業施設の管理者が協力的なのでスムーズに実施できることが多くなります。
また、ショッピングモールが実店舗だけでなく、オンライン販売の展開も想定していれば、調査対象エリアが日本全国に広がる場合もあるでしょう。
調査場所の確保で注意すること
調査エリア決めたら、その場所で実際に調査ができるのか、必ず確認しておきましょう。
場所によっては、アンケート実施に数日前~数週間前に「使用許可」を求められることもあります。
公道は道路使用許可が必要
公道での調査は、道路使用許可が必要です。申請自体は難しいものではありませんが、申請する調査の場所や調査時間等で調整の必要があります。事前相談、申請から許可証が出されるまで数日程度は余裕をみて、調査スケジュールに組み込んでおきましょう。
また、道路使用許可は申請すれば必ず許可が得られるとは限りません。アンケート調査の必要性や、交通への影響など総合的に判断されます。
申請は有料で、使用目的やその公道の管轄によって金額には差があります。
なお、申請が承認されれば、申請日から3日~1週間ほどで許可証を得られますが、念には念をおし、2週間~1ヶ月前から、余裕をもたせて準備すべきでしょう。
(※東京都の中心部では原則としてアンケート調査での道路使用許可を得ることが難しくなりつつあります。)
繁華街は調査が難しい?
「渋谷の繁華街で消費者の声を聴きたい!」という街頭調査を考えたとしても、実際には繁華街での街頭調査は非常に難しくなっています。公道での調査は警察の道路使用許可が下りにくく、行政が行うような調査でも厳しくなっています。
東京の繁華街で街頭アンケートをやっているように見える場合、次のようなパターンがほとんどです。
①公道に見えるが、実際は行動ではない
一見すると公道のようで、実は公道ではないケースがあります。
例えば、駅周辺であれば鉄道会社、歩行者用のペデストリアンデッキや公園などは、地方公共団体が管理しているため、実施可能になることがあります。
また、一見歩道に見えてショッピングモールが管理している区域、ということもあり得ます。この場合も、公道ではありませんので、所有者の許可が得られれば調査を実施することが可能でしょう。
②アンケートを実施していない
アンケート調査をその場で実施しているのではなく、アンケート会場に誘導するためのチラシ配布や看板の掲示などのケースがあります。
この方法をとれば、別の場所でアンケート調査を実施できますが、会議室などの準備が必要ですし、場所を移動することで協力率が下がる可能性があります。街頭調査というよりは「会場調査」となってしまい、手間とコストがかかるでしょう。
場所の確保以外で留意する点
場所の確保以外にも、街頭調査では次のような留意点があります。
調査時間:調査開始時間は、一般的には10時頃が多いですが、11時開店の店舗が多い地域などは開始時間を遅らせましょう。調査終了は、夏場は18時、冬場は16時頃が目安です。
季節要因:夏場の暑さ、冬場の寒さはもちろん、梅雨、台風、花粉多い時期など、季節的な要因を考慮しましょう。天候も同様で、昼間は晴れていても急な夕立がないとも限りませんので、念のため予備日を設定しておく等の対策を立てておきましょう。
街頭調査実績の多い調査会社であれば、場所の確保、申請、天候によるスケジュール変更等、臨機応変に対応してくれるでしょう。
調査票の作成
調査対象と調査エリアが決まったら、調査票を作成します。街頭調査は無作為に通行人に声を掛けるものですので、大抵が断られると思っておきましょう。しかし、それでもアンケート回収率を高めるためには調査票に工夫が必要です。
【工夫例】
・その場での回答が原則となるため、長時間考えて回答するような質問は避けましょう。
・質問数は、多くてもA4・2ページ程度に抑えましょう。理想的なのは片面1枚です。
・モニターが労力をかけずに回答できるよう、匿名記入や想定される回答の選択肢を用意して、手間を省きましょう。
・集計・分析することを考慮し、数値化しやすい回答を選定しましょう。
また、街頭調査で自由回答が欲しい場合には、あらかじめ予想される回答を項目別に分けておくことで、モニターの回答を振り分けやすくなります。
例)
■調査テーマ「新しいショッピングモールに希望すること」
準備しておく項目・・・「立地」「ユニバーサルデザイン」「食事」「価格」
モニターの自由回答・・・「自動車がないと遠すぎて不便。ベビーカーにも配慮してほしい」
集計時の振り分け・・・「立地」・「ユニバーサルデザイン」
調査の実施と集計(実査)
街頭調査で大切なことは、いかに短時間でサクッと答えられるかということ。
調査協力を得るための声掛けや、調査時に井戸端会議に発展し、相手のペースに引き込まれないように注意しましょう。
調査協力を得られやすい会話術
調査協力を得るためには、まずは回答者の警戒心を解く必要があります。同時に、興味を惹くような言葉を選ぶことが重要です。
例えば、「ちょっと宜しいでしょうか」と声をかけただけでは、ナンパや怪しげなキャッチセールスだと勘繰られて無視されることも多く、「アンケートのご協力をお願いします」だけでは、何を聞かれるのかなどが不明瞭で、興味を持ってもらうことは難しいでしょう。
そこで、「○○に関するアンケートを行っています。1分ほどお時間よろしいでしょうか?」と、アンケートの目的と回答にかかる時間を伝えます。
得に肝となるのが「1分」と、時間を明らかにして拘束時間を伝えることで協力率が上がると言われています。
相手の警戒心を和らげる身だしなみを
服装や身だしなみに気をつけることも大切です。見た目の印象で「怖そう」「怪しい」など、回答者に不安や不快感を与えるのはNG。スーツやオフィスカジュアル等、清潔感のある装いで、笑顔で相手に話しかけましょう。警戒心を和らげるという点では、男性よりも女性の調査員を選定するのも1つの方法です。
なぜなら、男性調査員よりも女性調査員のほうが、相手に与える印象が柔らくなりますし、声をかけられた女性は相手が男性というだけで、警戒してしまうこともあるからです。
集計方法
集計手法で代表的なのが「単純集計」と「クロス集計」 ですが、街頭アンケートでは下記のような手法も用いられることが多いでしょう。
■自由回答処理
アンケート調査などで取得した文字情報をデータ化し集計する作業。
文字で得られた情報をアフターコード(数字化)し、数字化した情報を集計することで回答した内容を%化することが可能です。意見を文字で読み解くことは重要ですが、文字情報を数字化することで、自由回答を集計にかけることも可能になります。
街頭調査の事例と料金
街頭調査の事例と料金感をいくつかご紹介させていただきます。
case1:観光地において外国人観光客への街頭インタビュー
調査内容:観光地のインバウンド調査。外国人が不便に思う点について調査をしたい。
国籍から日本で購入したものまで広範囲においてヒアリングをしたい。
費用:¥150,000
※価格は変動します。
モニター調査では出現しにくいターゲットへの調査のため、観光地での街頭調査を行いました。このようにニッチな層を対象とする調査では街頭調査が有効なこともあります。
case2:地域活性化に関する街頭調査
調査内容: 地域の商店街において街頭アンケートを実施したい。年齢性別が均等になるように100サンプル集めたい。
費用:¥280,000~
※価格は変動します。
ネットアンケートでも地域ごとのセグメントは可能です。しかし今回のような「地域の商店街」といった狭い範囲の場合には街頭調査が有効でしょう。
case3: 店舗に訪れたお客様に対する満足度調査
調査内容:来客者に対して店舗の利用目的・理由や実際の満足度について調査したい
費用:¥230,000
※価格は変動します。
街頭調査の中でも、店頭調査や来客調査に分類される調査です。現地でインタビューを行うことで鮮度の高い意見を聞くことができることに加え、対面での調査であることから信頼度も高いと言えます。
まとめ
街頭調査の特徴やメリット・デメリットを理解し、調査結果を活用することで、マーケティング課題の解決につながるでしょう。街頭調査を請け負っている調査会社は多くありますが、会社によって特化する分野が異なりますので、複数社を比較したのちに決定することをお勧めします。
※1)定量調査・・・通常、設問と選択肢を用意した調査票(紙あるいは画面)を使って行い、一定数の対象者の回答を得て、調査結果を数値(%など)で表示する調査です。
言い換えれば「仮説を検証すること」を目的とした調査です。
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